中学に上がるとき、息子は特別支援学級から特別支援学校に移りました。そのときの迷いと決め手を、国の決まりとあわせて、わが家の猫2匹と振り返りました。
登場人物

私今の私。落ち着いて振り返る
メロ当時の私の気持ちを代わりに言う
ナッツ読む人の代わりに聞く
※メロとナッツのセリフは、わが家の体験をもとにした創作です。

私
息子は小学校の6年間、特別支援学級に通い、中学から特別支援学校に移りました。

私
この記事で伝えたいのは、学びの場を選ぶときに知っておきたい「違い」です。

私
小学校の先生を責めたいのではありません。校長先生を含めて、先生たちはとてもよくしてくれました。
ナッツ
じゃあ、何が大変だったの?
小学4・5年、合わない日々が続いた


私
特に4・5年のころは、先生のやる気とはうらはらに、息子には合いませんでした。それでも、担当は同じままでした。

私
息子は荒れて、学校へ行くのも嫌がるようになりました。
メロ
どうすればいいのか、分からなかった……。

私
あのころは、妻も疲れ切っていました。
6年生で迷った。特別支援学級か、特別支援学校か


私
6年生では打って変わって、とても理解のある先生に出会い、息子は少し落ち着きました。
ナッツ
それなら、中学も同じでよかったんじゃない?

私
私も迷いました。中学も特別支援学級にするか、特別支援学校にするか。

私
学校にも役所にも相談した気がします。担任や学年主任の先生にも相談しました。

私
心配だったのは、息子が変化に弱いことです。学校が変わって、もっと荒れてしまわないか。

私
毎日バス停まで送ることも、迷った理由の一つでした。

私
はい。幸い、私の職場の理解があり、途中からテレワークにもなったので、妻の負担は減らせました。
ナッツ
手続きは、いつごろするの?

私
中学から特別支援学校に移る場合、手続きは6年生の12月末ごろまでに進みます。

私
市町村の教育委員会が、4月の3か月前までに、都道府県の教育委員会へ通知する決まりだからです。

私
決めるのは市町村の教育委員会です。その前に、保護者と専門家の意見を聴くことになっています。

私
国は、本人と保護者の意見を最大限尊重し、話し合って合意をつくることを原則としています。
数字で見ると、違いははっきりしていた

ナッツ
特別支援学級と特別支援学校って、何が違うの?

私
分かりやすいのは、1つの学級の人数です。

私
国の標準では、特別支援学級は1学級8人。特別支援学校の小学部・中学部は6人です。

私
障害を2つ以上あわせ持つ子の学級なら、特別支援学校は3人です。実際の人数は、都道府県が決めます。
ナッツ
1つの学級の人数が、こんなに違うんだね。

私
もう一つは、先生の免許です。

私
特別支援学校の免許を持つ先生は、特別支援学校で87.2%。特別支援学級の担当の先生では31.0%です。
メロ
3倍近くも違う!?

私
もちろん、免許がなくても、理解のある先生はいます。6年の担任の先生も、そうでした。

私
それでも、仕組みの違いは、はっきりしています。
決め手は「担任で変わらない専門性」と「中高一貫」

ナッツ
それで、特別支援学校に決めたの?

私
はい。担当の先生によって大きく変わることを、4・5年で知っていたからです。

私
特別支援学校には、専門の知識があります。担任が変わっても、そこは変わりにくいと考えました。

私
もう一つは、中学部から高等部まで、同じ学校で続けられることです。変化に弱い息子には、大きな安心でした。
ナッツ
息子さんは、どうだったの?

私
小学校を卒業することは分かっていたので、わりと素直に受け入れた気がします。
「行きたくない」日が、なくなった


私
中学部に入ってから、「行きたくない」という日はなくなりました。そこから、どんどん落ち着いていきました。

私
高等部になると、デイサービスの方も、息子の成長に驚いていたほどです。友だちとの会話も楽しめるようになりました。
ナッツ
よかったね!

私
今思うと、小学校から特別支援学校にすればよかった、とも思います。

私
小学校の先生たちには、感謝しています。ただ、ほかの子と一緒に息子を見るのは、大変だったと思います。

私
息子も、息子なりに大変だったはずです。仕組みとして、先生も息子も、つらかったのだと思います。

私
通った特別支援学校が「あたり」だったのかもしれません。どの学校でも同じだとは言えません。
メロ
違いを知っていれば、もっと早く選べたのに……。

私
はい。ここでも、私の知識のなさが分かれ道でした。だから、違いを知ったうえで選んでほしいと思っています。
ナッツ
違いが分かれば、迷っても自分たちで選べるね。
まとめ
特別支援学級か、特別支援学校か、迷ったら
どちらが正しいということではありません。子どもに合う学びの場を選ぶための、比べ方と相談先です。
1学級の人数を比べる
市町村の教育委員会、学校
国の標準は、特別支援学級が8人、特別支援学校の小学部・中学部が6人(障害を2つ以上あわせ持つ子の学級は3人)。実際の基準は都道府県が決めるので、地域の人数を聞いてみる。
先生の専門性を比べる
学校
特別支援学校の免許を持つ先生は、特別支援学校で87.2%、特別支援学級の担当で31.0%。担任が変わったときにどうなるかも、聞いておく。
担任によって大きく変わることが、特別支援学校に決めた理由の一つでした。
先の見通しを比べる
特別支援学校
中学部から高等部まで続けられるか。変化に弱い子には、変化が少ないことも大切な点になる。
中学部から高等部まで続けられ、変化を減らせることが決め手になりました。
6年生の早いうちに相談を始める
小学校の担任、市町村の教育委員会
中学から特別支援学校に移る場合、市町村は4月の3か月前までに都道府県へ通知する。手続きは6年生の12月末ごろまでに進むので、早めに相談すると、見学や面談の時間が取れる。
見学や面談で確かめる
特別支援学校、市町村の教育委員会
国は、就学先を決める前に、学校見学や体験入学などで情報を伝え、面談をするとしている。本人と保護者の意見は、最大限尊重される。
毎日の通学を確かめる
特別支援学校
バス停までの送りなど、毎日の通学に家族の手がどれくらい要るか。
毎日バス停まで送ることが、迷った理由でした。職場の理解とテレワークに助けられました。
制度の根拠(2026年10月時点。基準や手続きは、お住まいの自治体にご確認ください)
- 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律 第3条(1学級の人数の標準。特別支援学級は8人、特別支援学校の小学部・中学部は6人、障害を2つ以上あわせ持つ子の学級は3人。実際の基準は都道府県の教育委員会が定める)
- 学校教育法施行令 第5条・第11条・第11条の2(就学先は市町村の教育委員会が決める。小学校から特別支援学校の中学部に就学させる場合も、翌学年の初めから3か月前までに都道府県の教育委員会へ通知する)
- 学校教育法施行令 第18条の2(就学先を決めるときは、保護者と、教育学・医学・心理学などの専門家の意見を聴く)
- 文部科学省「障害のある子供の就学先決定について」(本人・保護者の意見を最大限尊重し、合意形成を行うことが原則。最終的には市町村教育委員会が決定する)
- 文部科学省 特別支援教育作業部会「特別支援教育を担う教師の専門性に関する基礎資料」(令和8年2月19日)。特別支援学校の教員の免許状保有率87.2%(令和5年度)、特別支援学級担当教員の特別支援学校教諭免許状保有率31.0%(令和6年度学校基本調査)